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直に伝わる嵐の体温。手は冷たい癖に、体温は高くて、それが妙に心地よかった。
と、頭の片隅で冷静になっている反面、心臓は異常なくらい音をたて、嵐に聞こえてないか心配になった。
ちらっと横を見ると、耳まで真っ赤になった嵐の顔がそこにあった。
「え?」
「よかった。凪も同じだ」
言ってることは落ち着いているのに、声が少し震えてる。
それに耳を澄ませてみれば、俺のものとは違う心臓の鼓動が聞こえてきた。
「嵐……?」
「俺だって、不安だったんだから。いつもより綺麗だし、凪のこと怒らせちゃったし……嫌われたかと思った」
「嫌いになんかならない!!嵐を嫌いになるなんて、出来ないし」
言った後で二人で小さく笑った。
二人して同じことで悩んで、すれ違って。
ほんと、馬鹿みたいだ。
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