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そこに、後ろから飛んできたしゃもじが、委員長の頭を直撃した。
「いっ!!」
「お前ら、いつまでちんたら野菜を洗ってるつもりだよ」
振り向くと、そこには大鍋を持っている雅彦さんがいた。
「ったく、こっちはもう粥を作り終わったってのに……。さっさと作れよー」
そう言って台所を出ていく雅彦さん。
俺たちは急いで味噌汁を作り始めた。
「……兄さん、相変わらずですね」
そう言って笑う委員長の顔は、始終ニコニコとしていた。
◇ ◇ ◇
朝食は味噌汁とお粥と漬物のみ。
これはお寺の決まりごとらしいが、男子高校生がこれで満足するはずもなく。
朝食後の勉強会では、蝉の鳴き声と皆の腹の虫が合唱を始めていた。
「腹減った……」
「言うな。皆同じだ。言うと余計にそう感じる」
「でもよう……」
「……」
洗濯ものを干しながら、その様子を見ていた俺は苦笑するしかない。が、少し俺は考えて、台所に向かった。
「……!どうした凪?」
「皆に差し入れ。お腹空いたんでしょ」
俺が入ってきたのを先に気付いた水越が声をかけた。
「差し入れ……それ?」
水越が指差したのは俺の持っているお盆だ。
その上に乗ってるのはさっき台所で作ってきた寒天だ。
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