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嵐に言われても、俺は納得が出来ずにいた。
未だに水越が怒った理由が分からないのが理由かもしれない。
お昼の時も、さっきの喧嘩の事もあり、すごく気まずかった。
水越は俺と、話さないどころか目も合わせなかった。
「水越君……」
委員長が俺たちの間に入ってくれようとしてくれているが、水越はそれを無視している。
俺だって謝る気はないので、淡々と自分の仕事をするだけだ。
「……これは、夜のアレまでに仲直りできるでしょうか?」
委員長が何か呟いた気がしたが、何を呟いたのだろうか。
◇ ◇ ◇
夕食後、俺たち全員、寺の本堂に呼び出された。雅彦さんも一緒だ。
委員長は俺達が来たのを確認すると、もっともらしく咳払いをした。
「では、今から肝試しをしたいと思います」
「「「肝試し?」」」
これにはクラス全員が首を傾げる。委員長はかまわず続けた。
「はい。と言っても、単に歩くだけですが……。
ルールは簡単ですよ。
今からくじ引きで二人一組になってもらいます。で、ペアになった者同士でここから墓地へ通じる道に入ります。
その道を道なりに行くと、ちょうど山の裏に大きな松の木が立っています。
兄さんに根元で待機してもらって、そこでお札を貰ってください。
その後、反対の道からこのお堂に戻って来てください。
タイムで競ってもらって、最も早く戻ってきたペアには、食券30枚差し上げます」
これを聞いたクラスの大半は喜んだ。うちの学校の食堂メニューは結構人気があるのだ。
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