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さっそく委員長がくじの入った箱を持ってきた。
……水越と一緒じゃなきゃ誰でもいいや。
もはや完全に意地の張り合いになっていたが、この時の俺はそんなこと、これっぽっちもおもっていなかった。
俺がひいた番号は27。辺りを見回すと、同じ番号のくじを
見つけた。
持っているのは……。
「あ……」
「……」
持っていたのは水越だった。
水越も俺のくじを見て、俺とペアだと気づいたらしい。
眉間にしわを一気に寄せた。
「じゃあ、肝試し始めますよ」
俺たちの空気とは裏腹に、明るい雰囲気で委員長は開始を宣言した。
ペアに配られるのは懐中電灯一本。それを手に、一本松まで歩くことになっている。
皆が順にスタートしていき、とうとう俺たちの番になってしまった。
「じゃ、じゃあ行ってらっしゃいです。道の脇は崖になってますから、気をつけて下さいね」
委員長が苦笑いで送りだす様子を見ながら、俺と水越は出発した。
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