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山道なので暗くて前が見えない。
懐中電灯も一本しかなく、持っているのは水越だ。
結果、水越の三歩後を歩くことになった。
「……」
「……」
両者無言で進む。
というより、水越がどんどん前に行ってしまうので、追いかけるのに必死なのだ。
「待って」とも言えず、転びそうになりながら追いかけるうちに、委員長の言っていた墓地に着いた。
道の右側に墓地があり、左側が急な崖になっていた。
「墓地……ねえ」
水越が止まったのは墓地を見回した一瞬だけで、またすぐに進みだした。
「ま、待っ……」
俺は最後まで言葉を言えなかった。
暗かった為に、崖に足を踏み出した事に気づかなかった。
「うわああっ」
「凪?……凪!!」
崖を滑り落ちる俺。
水越が異変に気づいて手を伸ばしてくれたけど、手をとった時に水越の足元が崩れたのが見えた。
俺達二人、暗い崖下へ落ちていった。
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