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凪を座らせて怪我をしている箇所を探すと、右の足首が紫色に腫れあがっていた。
「捻ったのか?」
「……落ちてくる時に捻ったっぽい」
「なんで言わなかった!?」
「っ、ごめん。平気だと思ったから」
しゅんと項垂れる凪。
凪がこれでは歩けない。俺も凪の隣に座った。
光源もない暗闇で二人っきり。
話すこともなく、しばらくは静かな時間が流れた。
「……ごめん」
突然凪が謝ってきた。俺はぽかんとしていたが凪はそれには気づかず、言葉を続けた。
「あの時、なんで水越が怒ったのかとかよく分かんないけど、俺が怒らせたのは事実だから……」
なんのことかと思えば昼間の喧嘩の事らしい。
ここで俺は、凪と喧嘩していたことを思い出した。
「いや、その……俺こそ悪かった」
まさか、凪が笑顔を向けるあいつらに嫉妬したからとか、言えるわけがない。
「……水越にシカトされて、ちょっと寂しかった」
「……」
この言葉も嬉しいと思ってるなんて、言えるわけがなく、凪に俺の気持ちを悟られないようにするので必死だった。
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