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しばらく震えていた凪だったが、人の温もりに安心したのか、ふっと力を抜いた。
ほっとしていると、上から光に照らされた。
「おい。大丈夫か?!」
光はどんどん大きくなる。光源を持っているのは、雅彦さんだった。
雅彦さんは俺たちの脇に滑り降りた。
「結構落ちたな。俺じゃなかったら見つけられないぞ」
雅彦さんはそう言いながら凪の足を看る。
早く冷やした方がいいと判断したのか、凪をおぶって急な崖を登り始めた。
「お前、俺の後登って来い!そんなに滑んねえから」
ひょいひょいと簡単に登っていく様に唖然としながらも、明かりを頼りに登って行った。
上では委員長やクラスの連中が待っていて、皆で心配していたようだ。
俺は心配をかけたことを謝りながら、寺へと戻った。
凪の怪我は冷やしたことで少しは腫れが引いたが、それでも歩くのは辛そうだ。
それに凪は今ちょっとした情緒不安定になっている。
いつまたあの時のような事になるか分からない。
が、俺に出来るのはここまでだった。
何故なら、凪には嵐がついてるからだ。
嵐に凪の事は任せ、俺は凪の布団を敷くため、その場を去った。
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