暗闇

15/21
前へ
/272ページ
次へ
◇ ◇ ◇ 雅彦さんにおぶってもらい、なんとか寺へ帰ってきた俺と水越。 今は寺の中の空いてる部屋で委員長に手当てしてもらっている。 「大丈夫ですか?痛くないですか?」 「大、丈夫……」 委員長の質問にも、声が震えてうまく答えられない。 「……ホントに大丈夫ですか?顔色悪いですよ」 今の俺の顔は、鏡を見なくても分かる。血の気のない真っ青な顔をしているだろう。 委員長が心配するのは分かっているが、どうしても身体の震えが止まらない。自分で震えを抑えようとしたが効果はない。 皆がいる寺まで帰ってきたのに、怖くて仕方がなかった。 昔は一人が当たり前だったのに、一人でいても平気だったのに、今は一人が怖い。 置いていかれるのが怖い。 一人になるのが怖い。 怖くて怖くてたまらない。 委員長も俺の様子におろおろするばかりだ。 「委員長、凪は俺に任せて、皆のところに行ってよ」 「嵐君……」 委員長に助け船を出したのは、いつの間にか部屋にいた嵐だった。 委員長は俺と嵐の顔を何度も見て、申し訳なさそうに部屋を出て行った。 嵐は委員長が出て行くと、俺の正面に立った。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

876人が本棚に入れています
本棚に追加