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◇ ◇ ◇
翌日は合宿最終日という事もあり、雅彦さんも皆を起こしに来ることはなかった。
ゆっくり起きた皆は、雅彦さんと委員長が用意した朝食を食べに行く。
動けない俺は、水越に支えてもらいながら歩いた。
「痛くないか?」
「うん。ごめんね、昨日からなんか色々やってもらって」
起きてから嵐に聞いた話だけど、俺が手当てを受けている間に布団を敷いてくれたり、冷やす氷を持ってきてくれたりと、色々やってくれていたらしい。
俺が寝てしまってからも、布団を持ってきてくれたらしいのに、今もこうして支えてくれる。
ありがたいけど、すごく申し訳なかった。
「あ?別にいいよ。その足も俺が怪我させたようなもんだし……」
「そうそう。こういうときは、凪も少し我が儘になればいいんだよ」
「お前が言うな!」
水越が怒っていたが、確かに嵐の言う通りかもしれない。
俺は小さく笑ってから、水越に少しだけ体重をかけた。
今日の朝食は焼き鮭と卵焼き、それから味噌汁とご飯だった。
「美味しいですか?浅羽君」
「うん。美味しいよ」
俺を気遣ってか、委員長が声をかけてくれた。
その後ろで雅彦さんが委員長の卵焼きを取ったのを見てしまったが。
「あぁ!!僕の卵焼き……。兄さん僕が卵焼き好物だって知ってるじゃないですか!!」
「ボケッとしてるほうが悪い」
「あ、俺の卵焼きあげるから……」
この三日間で分かった事は、雅彦さんは委員長を虐めてるのを楽しんでいる。ということだ。
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