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最終日という事もあり、昨日より念入りに掃除をする。
台所や風呂場、庭にトイレ。今回の合宿で使った場所を全て掃除した。
怪我人の俺は皆からストップをかけられて、縁側で伊達丸と一緒に待っていた。……正直暇だ。
「……伊達丸、お前ともお別れだな」
「うなぅー」
俺が伊達丸を抱きながら喉を軽く掻いてやると、気持ち良さそうな声で鳴いた。
これが結構気持ち良くて、なるほど、嵐が気に入るわけだ。
「気に入ったか?伊達丸の事」
後ろから声をかけられ、ビクッとしてしまった。
振り返れば、そこにいるのはこの前の委員長のように、お盆を持った雅彦さんだった。
雅彦さんは俺の隣に座ると、俺たちの真ん中にお盆を置き、伊達丸の頭を一撫でした。
「可愛いだろ、伊達丸」
「はい。かなり可愛いです」
俺が笑顔で返すと、雅彦さんはとても嬉しそうに笑った。
「あ、これ饅頭とお茶な。どうせ今暇だろ?」
「はい、暇です」
返事をしたら雅彦さんが吹き出した。どうやら、俺がかなり真顔で返事したらしい。
「お前面白いな。君彦の話よりずっと面白い」
「え、話?委員長が?」
俺と委員長は、合宿前は教室で数回話したり、仕事を手伝ったりしたぐらいだ。何を話していたのだろう?
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