876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
時が止まったような感覚を俺は感じた。
外から聞こえるはずの蝉時雨も聞こえず、薄暗い部屋の中には俺と嵐しかいなくて…………。
気づいた時には、嵐の顔は俺から離れ、俺を見て笑っていて。
やっと追いついた思考は、目の前の状況をすぐに教えてくれた。
「な……な……」
うまく呂律がまわらない。嵐はそれを見て、クスッと笑った。
「驚いた?凪……」
驚いたも何も。
今も唇に残る嵐の体温。柔らかい感触。
思い出しただけで顔が火照った。
最初のコメントを投稿しよう!