閑話

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 夏休み中盤。俺は部活に参加していた。が、正直つまらない。 「水越!お前もっと手加減しろよ!後輩泣いてんじゃないか」 「……手加減したら練習にならないだろが」 「だからってお前のは強すぎなんだよ!!」  三年生が引退して、二年生主体の部活になったのはいいが、代わりに俺の相手を出来る人がいなくなった。だからこうやって部長に怒られる。 「水越先輩、すみません……」 「あー……。いや、いいから早く冷やしてきなって」  涙目で謝られてもこっちが困る。  一年生が冷やしに行くのを見送りながら勝手に休憩する。どうせ相手がいないんだし。 「よっす」 「……比泉」  俺に話しかけてきたのは、新しく主将になった比泉 アキラだった。 「なんだ?嫁さんいないから機嫌悪いのか」 「……まず嫁さんって誰だよ」  比泉の茶化した言い方にイラっとした俺はぶっきらぼうに答えた。比泉は気にしていないようで、笑いながら隣に座った。 「勝手に座ると、みっちゃんに怒られるだろ」  ちなみにみっちゃんとは、剣道部部長のことである。 「うん?いいのいいの。怒られる時は水越も怒られろ」  なんで俺が怒られにゃならんのだ。 「ほら、やっぱり機嫌悪い。凪ちゃんがいないからだろ?」 「……」 「ほら、図星」  なんで比泉は余計なことに気づくかな。
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