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しばらく話をしていると、廊下から足音が聞こえてきた。凪が帰ってきたのだろうか?
「あ」
「おっ」
違った。弟の方だった。
「なんだ、来てたのか」
そう言って俺とみっちゃんの間に座りこむ。
寝巻姿だし、額に冷えピタ。こいつ、風邪引いてたんじゃ……。
「あぁ!!まだ熱があるのに、起きるなよ馬鹿嵐!」
本物がやってきたようだ。
凪は俺にお盆を渡すと、すぐさま嵐に説教を始めた。
「だいたい嵐は自分の事を軽く考えすぎ!夏風邪だって甘く見たら駄目なんだからな。熱も下がったばっかでぶり返すかもしれないのにまったくもう!!」
「……凪は心配し過ぎなんだよ」
「心配するよ!だって、嵐が……身体壊したら、やだし」
凪は俯きながら呟く。
覗き込んでみてぎょっとした。凪が涙を浮かべていたからだ。
「え、えっと……ごめん」
嵐が驚いていたが、俺はもっと驚いた。凪が泣くとは思わなかったからだ。その様子を見て、みっちゃんは驚きの表情を浮かべたが、比泉はにやにやと笑っていた。
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