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思わぬところで凪の泣き顔を見てしまった俺たち。困った顔をする俺達とは別に、比泉は笑いを堪えながら蹲っていた。何がそんなに面白いのだろうか?
「ん?浅羽、何隠してるんだ?」
みっちゃんが何かを見つけたらしい。
指摘するとビクッと大袈裟に肩を震わせた。
「凪、隠してるの見せなさい」
「……ヤダ」
「見せなさい」
「嫌だ」
「見せろ!!」
「いーやーだー!!!」
なんだかただの子供のじゃれ合いになってきた。
本当はこのまま放っておきたかったが、凪が隠している物も気になったし、なにより嵐は風邪を引いている。
また風邪でぶっ倒れられても困るので、俺はさっと凪の手から物をひったくった。
「あ、やばっ」
「……目薬、ね」
凪が隠していたのは目薬だった。しかも、男でも泣いて痛がるという程しみると噂のやつだ。
「さっすが凪ちゃん!!演技でそれ使うなんてっ!……それに比べて、騙されてる男連中は……まったく」
そう言って呆れ顔の比泉。
騙されたのは事実だが、こいつに言われると……すごくムカつく。
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