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あの後が一番大変だった。
嘘をつかれたと嵐は機嫌を悪くしたし、凪は嵐の機嫌を直そうと必死になる。
みっちゃんは目薬だと分からなかったことがショックらしく、部屋の隅で固まってるし、比泉はメモ帳にニコニコ……というよりニヤニヤしながら急いでなにかを書きこんでいた。
正直、比泉の顔が気持ち悪かった。
嵐の機嫌が直って、みっちゃんが立ち直る頃には、外は夕焼け空でひぐらしが鳴き始めていた。
夕飯を凪が人数分用意してくれるらしく、俺たちは有り難く御馳走になることにした。
ちなみに、今部屋には俺とみっちゃんしかいない。凪は夕飯を作りに行ったし、嵐はその手伝い。比泉はメモ帳片手に勝手についていった。
「浅羽の家って、広いんだな」
唐突に、みっちゃんがそんなことを言ってきた。前振りも無しにそんなことを言うんで、俺がびっくりした。
「……ああ。確かに広いな」
唐突過ぎて、簡単にしか返せなかった。けど、確かみっちゃんの家の方がでかかった気がする。なんでそんなことを言ったのだろう。
その事を言ってみると、みっちゃんは呆れたような顔をした。
「家がでかいのはお前んちもだろ。そうじゃなくて、こんだけ広い家に、あいつらだけなんだなって思ってさ」
そうだ、みっちゃんは知らない。
凪や俺とは高校で会った。
大会ではお互いそこそこの成績を残していたから、名前ぐらいは知ってたし、比泉や凪が、最初に仲良くなったので、それに乗るようにみっちゃんとも仲良くなったんだ。
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