閑話

11/13
前へ
/272ページ
次へ
 俺は怖かった。今度こそ凪が壊れてしまうのではないか。今度壊れたら、俺たちの声なんて届かないのではないか。  そんな気がして、その日は黙って帰ったのを覚えてる。  嵐もそれは感じていたようで、買ったばかりの慣れない携帯で、相談メールを送ってきた。  でも、凪は俺が思ってる以上に強かった。  両親が海外に行った後、凪はまた家事をするようになった。  けど、凪は無理をしようとはしなかった。無理だったら無理だとはっきり言うし、たまに俺に頼ってきた。  凪の変化に、俺は戸惑いつつも嬉しかった。 ────── ───── ──── 「……水越?」 「!あ、わりぃ」  回想に耽ってたらみっちゃんに怪訝な顔をされた。そう言えば今、みっちゃんと話をしてる途中だった。 「……あんまり人の家事情に入りこむつもりもないから、これ以上は聞かねえよ」 「あ、ああ。そうしてくれると助かる」  俺の空気を感じ取ったのか、みっちゃんはそれ以上は何も言わなかった。  そのみっちゃんの気遣いに救われた気がした。 「二人ともー!ご飯できたって!!早く食べよ食べよ」  そう言いながら、比泉がみっちゃんを引っ張っていく。  凪の飯を食いっぱぐれるのは嫌なので、俺も二人について言った。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

876人が本棚に入れています
本棚に追加