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俺は怖かった。今度こそ凪が壊れてしまうのではないか。今度壊れたら、俺たちの声なんて届かないのではないか。
そんな気がして、その日は黙って帰ったのを覚えてる。
嵐もそれは感じていたようで、買ったばかりの慣れない携帯で、相談メールを送ってきた。
でも、凪は俺が思ってる以上に強かった。
両親が海外に行った後、凪はまた家事をするようになった。
けど、凪は無理をしようとはしなかった。無理だったら無理だとはっきり言うし、たまに俺に頼ってきた。
凪の変化に、俺は戸惑いつつも嬉しかった。
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「……水越?」
「!あ、わりぃ」
回想に耽ってたらみっちゃんに怪訝な顔をされた。そう言えば今、みっちゃんと話をしてる途中だった。
「……あんまり人の家事情に入りこむつもりもないから、これ以上は聞かねえよ」
「あ、ああ。そうしてくれると助かる」
俺の空気を感じ取ったのか、みっちゃんはそれ以上は何も言わなかった。
そのみっちゃんの気遣いに救われた気がした。
「二人ともー!ご飯できたって!!早く食べよ食べよ」
そう言いながら、比泉がみっちゃんを引っ張っていく。
凪の飯を食いっぱぐれるのは嫌なので、俺も二人について言った。
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