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居間に行くと、嵐や凪は箸や茶碗を並べているところだった。
掘り炬燵の上には、ナスの煮びたしにきゅうりの浅漬け、鶏肉とねぎの炒め物と、夏野菜を使った献立になっていた。
「お、美味そう」
「でしょ?凪ちゃん、俺ご飯多めにー!」
みっちゃんの言葉に、比泉が続く。凪はにこっと笑いながら、比泉の分のご飯を茶碗に盛った。
みっちゃんは比泉を窘めたが、その間に凪にみっちゃんの分のご飯を盛られた。
「!盛らなくてもよかったのに……。なんか申し訳ない」
「いいよこれくらい。沢山食べていいからね」
そう言って凪が微笑むと、みっちゃんは何も言わなくなった。凪の笑顔には、流石のみっちゃんも勝てないらしい。
「はい。水越の分」
「サンキュ」
凪から受け取った茶碗には、多くもなく少なくもなく、ちょうどいい量のご飯。いつも食べにきているからか、凪は俺の好みを把握済みだ。
まったく、これで凪が……。
「……これで女の子だったら、いい奥さんになるのにねー」
耳元で聞こえた、比泉の声。
びっくりして振り返ると、ニヤニヤしている奴がいた。
「あっれー?図星だった?」
ああなんでこいつにはいつも考えてることを見透かされるのだろうか。
とりあえず、ムカついたので比泉の頭を一発殴ってやった。
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