悪夢

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 嵐は俺の様子に気付かず、話し続ける。 「この頃寒くなってきたからってくれたんだ」  止メテ。 「あと、お父さんもさっき来てね、プレゼントはないけど、おめでとうって言ってくれたんだ」  止メテッ! 「ところで、お兄ちゃんはどんなプレゼントをもらったの?」  その言葉に、何かが音をタテテ壊レテイッタ……。  答えを待っている嵐に、俺はまた得意ナ嘘ヲツク。 「……お菓子もらったよ。一つしかなかったから、一人で食べちゃった」  明るく答える声とは裏腹に、考えることは黒くて汚れていた。こんな自分が嫌で、嵐の話を聞きながら、この考えを消そうと必死だった。  そのあとは、どうやって部屋に戻ったか覚えていない。  部屋に戻った俺は、なにをするわけでもなく椅子に座って、ただじっと時間が経つのを待った。  ……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……。  カウントダウンが終わった時、居間にある時計がボーン、ボーンとなった。  誕生日が終わった。  普通の人にはそれだけのことかもしれないが、俺はじわりと涙をこぼした。
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