876人が本棚に入れています
本棚に追加
いきなりの委員長の暴露に驚いた俺だけど、ここで気づくべきだった。
普通、親しい友人でも簡単に「初恋の人」なんて暴露しないことに。そして、委員長は、実は突拍子もないことを平気でやれる人だということを、俺はすっかり忘れていた。
驚きの告白をしてすぐ、委員長は固まったままの俺を引っ張り、教室から一番遠い音楽室まで走った。
引っ張られながら、訳が分からず頭の上で?を浮かべる俺。
……え、なんで俺、委員長に連れ攫われてるんだろう?
なんて思っている間、委員長は廊下をきょろきょろと見廻し、人がいないか確認してから戻ってきた。
「浅羽君、折り入ってお願いしたいことがあるんですが」
「な、なに?」
この時の委員長の目が今まで見たことないぐらい本気の目だった。
やばい、嫌な予感しかしない。
「……な、奈美ちゃんの」
「相田さんの?」
「奈美ちゃんの、好きな人が誰か、それとなく本人に聞いてきて下さい!」
ほらね、嫌な予感が当たったよ……。
「ねえ、委員長」
「なんですか」
今の委員長に、なにを言っても無駄だとは思うが、一応聞いておかなきゃいけないと思った。
だって、おかしくないか?
「……なんで俺にそんなこと頼むの?俺、相田さんと話したことないよ?」
クラスは一緒だ。お互いの名前ぐらいは、どちらも知っている。
しかし、俺たちはあまりどころか話したことなんて一度もなかった。ましてや、さっきの俺への冷たい態度。
親しい女子でもないのに、そんな一歩以上踏み込んだこと聞けるわけがないだろ!!
でも、委員長も引き下がらなかった。
「大丈夫です!浅羽君なら奈美ちゃんから聞き出せますって」
その根拠は一体どこから来るんだ。俺はため息を吐きたくなった。
最初のコメントを投稿しよう!