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というか、今の委員長の口ぶりだと。
「委員長、初恋の人っていうか、今も相田さんのことが好きなんでしょ」
「はぃ。……片想い初めて十年ちょっとです」
「十年!?」
それは長い。
「……告白とか、しないの?」
委員長の性格を考えたら、言えないことは分かってる。
でも、わざわざ俺が相田さんに聞くより、委員長が告白した方がすぐに結果が分かると思うんだけどな……。
「それは、したいんですけど……。奈美ちゃんは僕のこと嫌いですし」
相田さんが委員長の事を嫌い?
ここで、さらに踏み込んだことを聞けば、もう断れないとは分かっていたけど、流れ的に聞くしかなかった。
「なんで、そう思うの?」
俺が聞くと、委員長はポツリポツリと話してくれた。
「僕と奈美ちゃんは、小さい頃奈美ちゃん家の前にあった公園で一緒に遊ぶ仲だったんです。
僕の家が山奥だったんで、遊ぶ回数は少なかったんですが、「奈美ちゃん」「君ちゃん」って呼び合う仲だったんです。
けど、中学に上がった頃から奈美ちゃんが僕の目を見てくれなくなって。
僕のことを避けるようになって。
しまいには、名前も呼んでくれなくなっちゃったんですよ」
そう言う委員長は、どこか寂しそうだった。
名前も呼んでくれず、避けられるのは確かに辛いし、嫌われてると思うだろう。俺だって、似たようなことを経験しているんだから。
「だから、嫌いな僕に告白されるより、好きな人がいるなら奈美ちゃんの応援がしたいと思ってるんです」
そう言って、再度俺に頼む委員長。
俺は、今度は断ることが出来なかった。
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