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家に帰ってきて、考えるのはどうやって相田さんから聞き出すか。という事。
接点が見つからないので、話すタイミングが見つからないのだ。
「うーん……。どうしようかな」
一人部屋で悩んでいると、二人分の足音が廊下から聞こえてきた。
「凪、この浴衣でどうかしら?」
「……なんでこんなに浴衣あるのさ」
そう言いながら入ってきたのは、母さんと浴衣を持たされている嵐だった。
「あ、うん。それぐらいでいいよ」
二人の方を見て、ざっと数を確認する。
うん、なんとか足りそうだ。
「母さんが沢山浴衣持ってて助かったよ」
「あら?これだけでいいの?まだ沢山あるのに……」
今嵐が持っているのだけでも三十着弱位はあるだろう。それをこれだけ?と言える母さんは、いろんな意味ですごい人だと思った。
母さんは着付けの先生をしているので、着物や浴衣といった和服類はかなりの数を持っている。その中でも、母さんが選りすぐった物なら大丈夫だろう。
「まあいいわ。二人とも、ご飯にするから早めにいらっしゃいね」
「「はーい」」
二人揃って返事をし、手早く持ってきてもらった浴衣を畳む。これは持っていくのが大変そうだ。
「これ、持っていく時は水越の車使おう」
「そうだね」
二人の意見が一致したところで、俺たちは夕飯を食べに行った。
明日から本格的に準備期間に入る。その間に、相田さんに聞ければいいと思いながら、俺は母さんの作った夕飯を食べた。
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