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剣道場の中にあるミーティング用の和室。そこには一年生と比泉達が座って話し込んでいた。
「悪い、遅れた」
「いや、いいよ。まだ重要なことは話し合ってないから」
鳴海はそう言ってホワイトボードにペンで書き込み始めた。
「えーと、今年もうちの部は揚げたこを売ることで決定でいいか?」
揚げたこは工皇祭で一、二を争う程の人気商品。市販の冷凍タコ焼きを油で揚げたもので、外はカリっと、中はとろっとしていて美味しいと評判なのだ。
「いいよーそれで。今年も売り上げ一位狙うから」
にししっ。と笑う比泉。と、ここで水越が手を上げた。
「みっちゃん、相談なんだけど」
「ん?」
「今年さ、うちのクラス忙しくって、こっちまで手が回らないかもしれない」
「なるほど。お前らが抜けるのは痛いな……」
鳴海が少し考え込む。
客の大半は、水越に集まるようなもんだし、料理に慣れていない男子高生がいきなり油を使って料理しろと言われても、辛いものがあるだろう。
俺も一緒になって考えていると、比泉がこっそり聞いてきた。
「ねえ、忙しいって言うけど、そっち何やるの?俺達漫画喫茶やるんだけど……」
「え、ああ、和風喫茶。うちのクラス、部の方水泳部と演劇部、吹奏楽部が多いから」
とだけ答えた。
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