876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
水越は苦笑しながら俺を落ち着かせようとしてくれた。
それでも俺が唸っていると、水越は何かを投げてきた。
キャッチしたそれは、缶に入った紅茶だった。
「水越……」
「それ飲んで、いったん落ち着け」
うん。その気遣いは嬉しいんだけど……。
「……ゴメン、俺、紅茶飲めない」
「は?」
うっ、その反応……。ちょっと傷つくぞ。
「の、飲めないんだよ!紅茶は……」
俺は少し頬を膨らませながら言い返す。水越はそれを見て、笑った顔で俺にノートを差し出した。
「え?」
「今日のノート、これが無いと困るんだろ?それから、凪は今日体調不良で早退したことにしたから、心配しなくていいよ」
俺は、一瞬ポカンとしてしまった。
水越、なんでそんなに気遣かってくれるんだ?
わけがわからなくなりながらも、水越へ素直にお礼を言った。
「あ、ありがとう!」
その時、水越の顔が赤く見えたのは、俺の勘違いだったろうか?
最初のコメントを投稿しよう!