876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
「まったく、紅茶が飲めないとはね」
「うっ、いいだろ!昔から苦手なんだ!」
その日の帰り。いつものように他愛もない話をしながら歩いていた。
どうやら水越はさっきのことを根に持っているらしい。さっきからその話ばかりだ。
「……んじゃ、明日な」
「おう!また明日!」
心配だからって、俺の家まで送ってくれた水越は、ほんといいやつだと思う。
俺達はこんなやり取りで別れ、俺は家に入った。
いつもは夕食も一緒に持って行くが、今日はその前に嵐のいる離れに向かった。
いつもの合図で襖を開ける。
嵐はいつもより早く来た俺に驚きながらも、快く中に入れてくれた。
「どうしたの?今日はいつもより早いね」
嵐は笑う。
俺は深く息を吸って、気持ちを整理した。
そして、言葉を発した。
「嵐、昨日のことで、話があるんだ」
最初のコメントを投稿しよう!