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俺の真剣な雰囲気を感じたからか、嵐は居住まいを正した。
俺はその場に正座すると嵐に向き合う。
しばらく二人の間に、沈黙が流れた。
「…………」
「…………」
話を持ち掛けたのは俺なのに、なかなか話を切り出せない。
それなのに、嵐は何も言わずに待っていてくれた。
「……嵐」
「……何?」
「……昨日のあれは……なんで」
「……凪が、好きだから」
昨日と同じ答え。
ここで昨日は逃げてしまった。
でも今日は、逃げちゃいけないんだ。いや、逃げないって決めた。
「嵐、俺は……!」
「うん」
嵐は完璧に聞き手に回ってくれた。俺は、喉まで出かかっている言葉を掠れた声で絞り出した。
「俺は……嵐が好きだ」
「うん」
「でも……」
「でも?」
「……俺は、わからないんだ」
「…………」
「嵐の言ってる好きの意味はわかる。……でも、俺の好きと同じかは……正直、自分でもわからない」
「…………」
「だから、その……」
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