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嵐の一件からしばらく経った、夏休み直前のある日。
俺は靴箱からあるものを取り出した。
「?何それ」
「……ラブレターじゃない?」
俺は、自惚れているわけではないが、モテる……らしい。
自覚はしてないが、昔から双子セット、みたいな形でプレゼントを貰ったり、チョコを貰ったりしていた。
ラブレターもその一つで、俺はこのての贈り物には慣れていた。
「差出人は……無しか」
それだけ確認し、きれいに糊を剥がして中の手紙を読んだ。
「んで、何年生の女の子から?」
「多分、後輩。あと、これ男」
男からの手紙も貰ってた俺は、事務的に言った。
「あっそう。なんでわかんの?差出人の名前無いのに……」
俺と同じく、男からのラブレターを貰うことが多い水越は、またかって顔で聞いてきた。
「ん」
手紙を読んでいる俺は、手紙から目を離さぬまま、後ろの柱を指差した。
水越が指差す方向を見ると、そこには見つかって慌てた後輩らしき男子生徒二人が逃げていくところだった。
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