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「お?」
「え?」
先輩と淀橋君が驚く。
当たり前か、俺が代わりに殴られてれば。
少しふらつくが、なんとか踏み止まる。
淀橋君は泣きそうになりながらカタカタ震えていた。
「っ、淀橋君は、謝ったじゃないですか!」
さすがにさっきのは痛かった。音がやばかった。
「へぇ、お前確か、二年の浅羽だったな。なんだ?後輩助けてポイント稼ぎか?」
そんなんじゃない。
気づいたら身体が勝手に動いてたんだ。
なんてカッコイイことは言えなかった。
俺は、淀橋君の方を見て、小さく笑った。
「よそ見してんじゃねぇ!」
「っ!」
脇腹の蹴りは息が詰まりそうだ。
どうやら、先輩の狙いは、淀橋君から俺にいったみたいでよかったと思う。
立ち上がりながら、ちらりと淀橋君を見ると、もう走って逃げていた。
よかった。
これで完全に、先輩の狙いは俺一人だ。
そう思った瞬間、俺は首筋に鋭い痛みを感じ、そのまま気絶した。
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