876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
長かった梅雨がようやく明け、からっと晴れた日が続く7月のある日。
だらけたくなる程の暑さの中、道場の中では剣道の掛け声と激しい竹刀の音が響いていた。
「よし!ここまで!」
「「「ありがとうございました!」」」
剣道部の主将が、汗を拭いながら叫ぶ。
練習が終わったので、俺は面を外した。
「あっつ……」
手ぬぐいを畳みながら周りを見ると、やはりみんな同じで滝のような汗をかいていた。
汗を拭こうとタオルを探していると、後輩達がタオルを差し出す。
「浅羽先輩。これを使ってください」
「あ、ありがとう」
ちょっと笑っただけなのに、後輩達は俺を見て失神してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!