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薄暗い体育倉庫に差し込む光。
その中に、人影が一つあることに俺を含めた全員が気づいた。
けれど、逆光で人影が誰かはよくわからなかった。
不良達は勢いよく振り返り、その人影を睨みつける。
しかし、人影はその視線を気にしていない様で、ドスのきいた低い声で告げた。
「……凪、返せ」
最初はあまりに低い声だったから誰かわからなかったが、ぼんやり考えると思い当たる人が一人いた。
ああ、水越だ。
そうだとわかると、一気に安心と不安が襲ってきた。
水越が来たことに安心は出来たが、相手は不良だ。
いくら水越でも無事ですむはずがない。
なんて思っていたのに、気づけば目の前に水越がいた。
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