告白

15/23

876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
「大丈夫か?今解くからな」  そう言って水越は急いでさるぐつわを外してくれた。  俺は外されたと同時に咳込み、口の中に溜まった血や唾液を吐き出す。  どうやら殴られた時に切ったらしく、吐き出した後も口の中に鉄の味が広がった。  水越は次に手首の拘束も外した。  抵抗した時に擦れたのか、手首は赤くなっていて、それを見た水越が顔をしかめたのを俺は見逃さなかった。  水越が外してくれてる間に、俺はぼんやりとした視界を正す為に、何度か瞬きをする。  クリアになった視界で辺りを見ると、入り口付近に不良達が倒れているのが見えた。すぐそばには、無残にもバラバラになったデジカメ。  さらに、水越の顔をよく見ると、口の端から血が流れ、眼鏡にはヒビが入っていた。 「み、水越!その顔……!」  不良にやられたのか。と、続けようとしたが、本人は気にしていなかったらしく、口元を拭いながら説明してくれた。 「ああ、そういえば凪、気絶してたんだっけ。二、三発殴られただけだから気にすんな」  水越の話だと俺は、ぼんやり考えていたと思った時間、意識が飛んでいたらしかった。  でも、気にするなと言われて気にしない訳がない。  その怪我が俺のせいでついたのなら尚更だ。 「ごめん……」  ああなんで、俺は謝ることしか出来ないんだろう。  俺が俯いていると、水越は着ていたワイシャツを脱ぎはじめ、俺にかけてくれた。 「え……」 「謝ることねぇよ。……俺が早く来てればよかったのに……ごめん」  水越はそう言うけど、水越があのタイミングで来てくれなかったら、どうなっていたのかわからない。  水越が謝る必要なんて、どこにもないのに。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

876人が本棚に入れています
本棚に追加