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水越は立ち上がると、俺に手を差し延べてくれた。
俺はワイシャツを羽織り直してから水越の手をとった。
なんとか立ち上がるが、うまく力が入らず、そのまま倒れかけた。
「あ、あれ?」
「……凪、しっかり捕まってろよ」
言うや否やいきなり俺を背負った。
俺は慌てて水越の首に手を回した。
「み、水越?!お前怪我して」
「凪の方が怪我してるだろ?おとなしく掴まっとけ」
そう言うと、水越は走り出した。
いつもは学校で陸上部と張り合うぐらいのスピードを誇る水越だが、今は怪我をしているからか、それとも俺を気遣かってかゆっくりとした速さで走ってくれた。
俺は水越に言われた通りにおとなしく水越の背に身体を預けた。
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