告白

21/23

876人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
 これには俺も水越もギョッとしてしまう。  俺は人が泣くのは見慣れていない。しかも男の子が大粒の涙を流す。この図は俺達が虐めてる様に見えない。 「淀橋君?」 「ごめんなさい、すみません、ごめん、なさい。俺が不良に、ぶつからなければ、先輩達が怪我しなくてよかったのに、ごめんなさい、ごめんなさい……」  声をしゃくりあげながら、必死に謝る淀橋君。  別に俺は、勝手に間に入っただけだし、水越もそんなに酷すぎる怪我はしていないのに。  俺は水越に支えてもらって、淀橋君に近づいた。  近づく度に少しビクッとするのに悪いと思いながら、淀橋君の目の前に立った。 「淀橋君」 「っはい……」  涙を溜めて、俺の顔を見てくれた。  俺は安心させる為に笑ってみせる。そして、淀橋君の涙を拭ってあげた。 「俺達は大丈夫だよ。淀橋君が怪我してないなら、それでいいんだから。な?」  水越に同意を求めると静かに笑ってくれた。  淀橋君は交互に俺達の顔を見て、ぐしぐしと袖で涙を拭った。 「……はい、ありがとうございました」  淀橋君はそう言って一礼して帰って行った。  まあ、暗くなったから帰らせたんだけどね。 「俺達も帰るぞ。車呼んだから」 「あ、うん」  歩けないからその方が嬉しい。  外を見たら真っ暗で、淀橋君をもっと早く帰せばよかったと、反省しながら帰り支度を済ませた。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

876人が本棚に入れています
本棚に追加