傷痕

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 春はよく学校に来ていた弟も、夏場は体調を崩しやすいのか、たまにしか来れなくなっていた。  こうなれば、もう兄と俺の接点は無い。  ……はずだった。 「水越君、ちょっといいかな?屋上で話がしたいんだ」  兄の方が、俺を直に呼び出さなければ。  教室で言われた為、数人がこちらを見ていた。  それはそうか。他人から見ても、そんなに仲が良くない俺達。  それなのに、何の話が有ると言うのだ。  俺は、断ろうとも思ったが、ちょうどいい機会だ。 「いいよ、昼休みな」  はっきり言ってしまおう。  俺はお前が信用出来ないと。
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