傷痕

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 こいつが何を言っているか、俺にはわからない。  なんで笑ってるのかもわからない。  こいつの考えてることがわからない。  わからないわからない。  わからないから、こいつが怖い。 「何、言って」  確実に動揺した声で俺は聞いた。  しかしこいつは、まただんまりを決め込んでしまった。  ……いや、違う。  よく見ると、こいつの顔からは血の気が引いていた。 「……おい、どう……」  俺が聞き終える前に、こいつは倒れる。  慌てて受け止めると、こいつは口を手で押さえていた。  とりあえず、しゃがませると、こいつは咳込みながら戻しだした。  けれど、こいつが吐き出すものは、少量の胃液のみ。  今日食べた筈の物が、全く無かった。  一度吐いたのだろうか。  なんて、考えてる間にこいつは荒い息を繰り返し、意識は半分無いような状態になる。  関わりたくない存在ではあるが、弱り切ったこいつを放っておくわけにはいかない。  俺は、意識の無いこいつを肩にのせ、校門辺りに待機しているであろう、車まで急いだ。
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