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「お帰りなさいませ、坊ちゃん」
ほら、いた。
タオルを持って待機していた執事は、俺が人を担いで来たことに少々驚いたようだ。
説明もそこそこに、俺は執事に渡されたタオルでこいつの身体を拭いた。
執事は勘がいい方だから、事情を察してシートで簡単なベッドを作ってくれた。
だいたいの水気を吸い取ると、執事がこいつを受け取り、ベッドに寝かせる。
俺はタオルを絞って、今度は自分の髪を拭きながら車に乗り込んだ。
「こちらの方はご友人で?」
運転席に乗り込みながら執事が聞いてきた。
「友人……というよりクラスメイトだ」
それだけ呟き、浅羽の家に行くように伝える。俺はというと、鞄から携帯を取り出し、浅羽の家に電話を入れた。
『……はい、浅羽です』
電話に出たのは、弟の方だった。
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