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◇ ◇ ◇
浅羽から話を聞いた俺は、無言のまま車に戻ると、そのまま俺の家に向かわせた。
執事は何も言わない。話し掛けないでくれた方が俺はよかった。
でなければ、このイライラをぶちまけてしまいそうになってしまう。
俺は唇を噛み締めて、苛立ちを抑えるのに必死だった。
家に着くと、執事がすぐに空いている部屋の一つを暖め、こいつをベッドに寝かせる。
俺はメイドに言われて、一度着替えてから、こいつのところに戻ってきた。
だいぶ落ち着いたのか、息も穏やかになっており、血の気も戻っている。
俺は近くにあった椅子に座り、こいつが目を覚ますまでじっと待っていた。
執事が着替えさせただろう、真新しいパジャマを着ているこいつの寝顔は、何処か苦しそうであった。
長めの前髪を払ってやると、こいつが薄く目を開けた。
「よぉ、起きたか?」
まだぼんやりとしているこいつに優しく問い掛けると、小さく頷き返してくれた。
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