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「まあまあ。ほら、髪が解けたよ」
誰のせいだ誰の。
水越は俺の髪に指を絡める。結び直してくれるのはありがたいので俺は水越を放っておいた。
すると、それを見ていた剣道部と同じ道場を使っている柔道部の部員の半数が鼻血を出して倒れた。
……まあ、水越はイケメンだからな。
なんて、勝手な結論を出した。
俺が片付けをしていると、水越が口を開いた。
「あ、そうそう。暑いし、帰りにかき氷食べに行こうよ」
「悪い。今日は帰る」
間髪入れずに答えると、水越は口を尖らせた。
「えー……、『深窓の姫』のこと?」
『深窓の姫』と言うのは、俺の弟のことだ。
昔から病気がちで、ずっと自室に篭っている。が、入学式の時に兄弟揃って登校した時に、『美形双子』として学校中に広まってしまった。
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