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泣きつかれたのだろう。
もしくは、今まで張っていた緊張の糸が切れたのか。
俺はこいつを、ベッドに再び寝かせてやる。
持ち上げると、予想以上に軽かった。
部屋の外から、ノックの音。それから、執事の声。
「失礼します、坊ちゃん。ホットレモネードを持ってまいりました。夜は冷えますよ?」
なんとも執事らしい気遣いだ。
中に入るよう告げると、手に持っている盆にはカップが二つ。
こいつの分も用意したのだろうが、タイミングが悪かった。
「……浅羽の家には、誰か配置したか?」
「はい。使用人を五名ほど」
「ならいい」
レモネードを飲みながら、俺は満足げに頷いた。
兄を預かる。という事は、あの家には緊急時に動けるやつがいないわけだ。
念のため、使用人の中から数人選出した。
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