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つまり、この合宿は、学力を伸ばす為に三日間勉強会をしろ。ということだ。
男子だけ、というのは、女子より男子の方が成績が悪いからだそうだ。
「いいか?もしこの合宿に参加しなかったら、夏休み中補習と追試だからな」
出た。久々のちかちゃんルール。
皆も暑いなか学校にくるのが嫌なのか、渋々返事をした。
「明日は8時に駅前集合ですよ~」
委員長がニコニコしながら伝える。
何か嬉しいことでもあるのだろうか?
俺はプリントの内容を見ながら、嵐をどうしようか考えていた。
◇ ◇ ◇
「俺も行く。というか行きたい」
ほらきた。
俺は夕飯を食べながらため息をつく。
目の前には同じく夕飯を食べる嵐がいる。その手には今日貰ってきたプリント。
こう見えて、アウトドア派の嵐は、自分が元気な時は外に出たがる。
見せたら絶対行くと言うと思った。
「ダメだからね」
「何で?」
何でって……。
「夏場は倒れやすいじゃんか」
「この頃は体調も安定してきたし、大丈夫だよ」
「でも、もし倒れたりしたら……、皆に迷惑がかかるし……」
「自分の体調は自分がよくわかってる。それに、倒れそうになった時は、凪が側にいるでしょ?」
「……でも」
「俺だって、皆と一緒に勉強したいし、遊んでみたいんだ!……お願い!」
お願い、されてしまった。
俺は嵐のお願いは断れない。というより断れる自信が無い。
しばらく悩んだが、俺は結局。
「……わかった」
そう言って、許可してしまった。
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