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電車に揺られ、五つの駅を過ぎると、窓から見える風景は、緑の割合が多くなっていった。
行き先は委員長だけが知っているようで、皆はおとなしく委員長についていくだけだ。
電車に乗って六つ目の駅で全員が降りた。
駅周辺の景色は、田園風景が広がり、ビルのような高い建造物は見当たらない。
のどかな田舎町だ。
委員長が道案内をしながら熱くなったアスファルトの道を歩く。
三十分くらい歩くと、目的地らしき建物が見えてきた。
「ここが、僕らがお世話になるところです」
委員長がウキウキと説明するその場所は、山の麓に建つ、古い寺だった。
「うわー……」
皆は口をぽかんと開けたままその寺を見つめた。
日陰に建っているからか、全体的に暗い感じが漂い、門や壁はボロボロと崩れている。
烏達も屋根に群がり、じっと俺達の事を観察するように見ていた。
皆は口に出さないが、ぼろいと思っているのだろう。
けれど、俺は俺の家といい勝負だな。と思っていた。
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