合宿

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 若干涙目の委員長を尻目に、雅彦さんがこちらをジロリと見る。  しばらく皆の顔を眺めていた雅彦さんだが、目線を俺のところでピタリと止めた。 「……おい君彦、今日来るのって男子だけじゃなかったか?」 「そうだよ」 「じゃあなんで、一人だけ女子がいるんだよ!」 「ぷっ」  後ろから嵐の失笑が聞こえた。水越を含む他の皆は苦笑しているはずだ。見なくてもわかる。  いつものことだし……。 「浅羽君は男子です」  委員長が雅彦さんに言ってくれたが、雅彦さんは信じられないようだ。  顔を近づけ、食い入るように見てきた。  その顔の近さといったら、鼻がぶつかりそうになったぐらいだ。  どうせ信じてもらえないだろうな。  声も高いし、こんな顔だし……。 「……そうか、悪かったな」  しかし、俺の予想とは違って、すぐに信じてくれた。  しかも、謝ってくれるというおまけつきで。  今まで初対面の人に、こんな反応をしてくれる人がいなかったので、俺の方が反応に困ってしまった。  けれど、俺は雅彦さんがいい人だということを知ることが出来た。  ……参加して、よかったな。  そんな思いを持ちつつ、夏合宿は始まったのだった。
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