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委員長に引っ張られるような形で連れてこられたのは、寺の脇に建つ小さな家みたいな建物だ。
「兄さーん、連れて来たよ……っ痛」
「だぁかぁらぁ!その喋り方止めろって言ってるだろが」
出てきたのは割烹着を着た雅彦さんだ。
……びっくり、雅彦さん割烹着姿が似合ってる。
雅彦さんはおたまで委員長の頭を殴ったあと、俺の襟をむんずと掴んだ。
「うえっ……?」
「じゃあ君彦、コイツ借りるぞ」
「はいは~い」
よくわかっていない俺を放置して、勝手に話を進める委員長兄弟。
俺が気づいた時には、雅彦さんに連行された後だった。
◇ ◇ ◇
引きずられるように連行されて、着いた先は台所だった。
まあ、雅彦さんの格好で大体の予想はついていたけれども。
「……うわぁ」
思わず声を出してしまう。
台所の中はかなりの広さがあった。
かまどに井戸と、かなり古いものは存在していたが、包丁などの道具はよく手入れされていたので、使いやすそうだ。
「さてと、浅羽っていったか?夕飯のカレーよろしく。俺米を炊くから」
「あ、はい」
雅彦さんはそう言うと、米を磨ぎはじめた。
もしかしなくても、ご飯はかまどで炊く。普段使ったことがないので、やってもらえるとなると、とても楽だ。
俺は、流しで野菜を洗い始めるが、なにせ量が多い。
普段作っている量の倍の倍で、あまり時間もないので俺は少し、速度を上げてカレーを作りはじめた。
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