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夕方近くになり、俺はそうっと勉強会をしている部屋を覗いた。
もう夕飯の準備も出来たし、勉強会も終わってると思っていたからだ。
しかし……。
「……」
中の状況を一言で説明するなら、死屍累々という言葉がしっくりくる。
俺はそのまま、襖を閉めてしまいたくなった。
「浅羽君、入ってきたらどうですか」
委員長に見つかり、恐る恐る中に入る。
すると、がっちりと足首を捕まれた。
よく見ると、足元には先程まで死体とかしていた同級生が三人。
「浅羽~、助けろ~」
そんなこと言われても。
「水越が怖いんだ!頼む、あいつを説得してくれ」
水越が怖い?ならどう説得しろと?
「もう無理。明日筋肉痛で死ねる」
何となく、水越の教え方がわかった気がする。
ふと前を見ると、そこには仁王立ちをする、勉学の鬼がいた。
「お前ら、最終問題解いてないだろ!」
鬼となった水越は、俺から三人を引っぺがすと、部屋の隅に強制連行して行った。
「ところで、浅羽君はどうしました?何かありました?」
何事もないように聞いてくる委員長。
後ろからはさっきの三人の悲鳴が聞こえる。
「ああ、夕飯出来たよ。さっさと呼んで来いって雅彦さんが……」
「もうそんな時間ですか。じゃあ、一旦終了です」
委員長の言葉に、皆が救われたような表情になったのは、俺の見間違いではないはずだ。
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