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食事をする部屋に行くと、長机が三列並んでいた。
前もって委員長と雅彦さんが用意してくれたらしい。
その上に先程作った簡単なサラダが置いてあり、皆の分のカレーが盛られた状態だった。
俺が呼びに行った間に、雅彦さんが盛っておいてくれたのだろうか。
「遅かったな、早く座れ」
雅彦さんは待たされたからか、若干額に青筋がたっていた。
皆は無言で座布団に座る。
俺はその様子に苦笑しながら座布団に座った。
「じゃあ食べますか」
そう言って手を合わせる委員長。雅彦さんも手を合わせ、お寺の決まり事なのか『食事の言葉』という決まり文句を唱える。
皆もそれに習って決まり文句を唱えるが、言葉の意味を理解しているかはまた別だ。
「――、では改めて、いただきます」
雅彦さんの言葉で、皆は一斉に食べはじめた。
俺は正直言って不安だ。
カレーはたまに作るが、いつも二人分。
こんな大人数分は作ったことがない。
もしかしたら味が薄いかもしれない。
いや、もしかしたらちゃんと火が通っていないかもしれない。
そう思うと、自分で作ったものでも、なかなか手をつけられなかった。
「……このカレー、誰が作りました?」
誰か雅彦さんに尋ねる。
俺は身体を硬直させてしまった。
味がまずかったか。という、申し訳ない気持ちで顔を上げる。
しかし、皆の顔は、予想と違って笑顔だった。
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