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委員長に教えてもらい、廊下を辿って縁側に着くことができた。
「あ、いた」
確かに、嵐は縁側に腰掛け、真っ白い猫とじゃれあっていた。
あれが伊達丸だろうか。
伊達丸の頭を撫でたり、笑いかけたり、耳に髪をかけたり。
嵐の何気ない仕種に、俺は見惚れていた。
風呂上がりということを差し引いても、こんな風に、綺麗だと思うなんておかしい。
だって、いつも見ているはずの、同じ顔の弟なのに。
「なぅ、にゃー」
「あれ、凪?」
嵐に声をかけられ、俺の心臓は大きく跳ねた。
どうしよう。今まともに嵐と喋れない。
「どうした?あ、凪も伊達丸触りにきた?」
ニコニコと話しかけてくる嵐。
こっちの気も知らないで。
嵐の言葉、一つ一つに心臓が早鐘を打ち、顔が赤くなっていそうで、まともに嵐の顔が見れない。
いつもと同じはずなのに、俺おかしいのかな。
だって、昨日まで普通に接してきたじゃないか。
「凪?おーい」
嵐が心配そうに俺の顔を覗き込む。やめてくれ、なんか変になるから。
「……てりゃ!」
嵐がいきなり、俺の頬に手を押し付けた。
突然の冷たさに俺は驚き、軽く嵐を睨みつける。
しかし、嵐は俺の顔を見て、ケラケラ笑っていた。
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