876人が本棚に入れています
本棚に追加
訳の分からない不快感は部屋に近づくたびに色濃く渦巻いて、正直苦しい。
苦しさからか吐き気がこみ上げてきて、俺は廊下にしゃがみ込む。
しゃがみ込んだから治るというわけではないが、立っている方が辛くなりそうだ。
「……浅羽君?」
後ろから声をかけられ、振り返るとそこには委員長がいた。
「大丈夫ですか?気分でも悪いんですか?」
目線を合わせ、心配してくれる委員長。俺が何も言わないのに、手を貸してくれて、それが申し訳なくて……。
泣きたくなった。
「……ごめん、委員長」
「いえいえ。少しそこの部屋で休みましょう」
すぐそばの部屋に入る。
そこは小さい客間になっていた。
委員長は一度部屋を出て、しばらくしてからお盆を持って帰ってきた。
「どうぞ。気分が落ち着きますよ」
差し出されたのは湯呑に入った緑茶。
俺は受け取ると、一口だけすすった。
「あ、美味しい」
「でしょう?僕、このお茶っ葉が好きなんですよ」
嬉しそうに微笑み、自分も緑茶をすする委員長の姿に、少しだけ落ち着けたような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!