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(当たり前、か)
また、さきの疑問がぶり返す。
どうして委員長は僕を誘うのだろう。普段から1人で行動している彼女なら、僕がいなくても何の問題もないだろう。
別に僕が委員長と一緒に行動するのを嫌がっているとか、そういうことではない。
ただただ、不思議なのだ。
「ねえ、委員長」
悩んでいても答えが分かるわけではない。
好奇心に駆られた僕は、思い切って訊いてみることにした。
「委員長はどうして僕と仲良くしてくれるの?」
誰もいない廊下に響く靴の音が、ピタリと止まった。
隣を歩いていた委員長が、歩みを止めた。
「……」
じっと、僕の顔を見つめてくる。なにも言葉を発することなく、じっと見つめてくる。
怒っている様子はないけど、やはり答えにくい質問だったらしい。
好奇心だけで行動してしまったことを後悔した。
「ごめん。言いにくいことだった――」
「あなたは」
僕の言葉をさえぎるように、委員長が言葉を重ねてきた。
「あなたはどうして、私と仲良くしてくれるの?」
その言葉は、僕が委員長に投げかけたのと同じ質問だった。
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