思い込み

4/7

5908人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
  (当たり前、か) また、さきの疑問がぶり返す。 どうして委員長は僕を誘うのだろう。普段から1人で行動している彼女なら、僕がいなくても何の問題もないだろう。 別に僕が委員長と一緒に行動するのを嫌がっているとか、そういうことではない。 ただただ、不思議なのだ。 「ねえ、委員長」 悩んでいても答えが分かるわけではない。 好奇心に駆られた僕は、思い切って訊いてみることにした。 「委員長はどうして僕と仲良くしてくれるの?」 誰もいない廊下に響く靴の音が、ピタリと止まった。 隣を歩いていた委員長が、歩みを止めた。 「……」 じっと、僕の顔を見つめてくる。なにも言葉を発することなく、じっと見つめてくる。 怒っている様子はないけど、やはり答えにくい質問だったらしい。 好奇心だけで行動してしまったことを後悔した。 「ごめん。言いにくいことだった――」 「あなたは」 僕の言葉をさえぎるように、委員長が言葉を重ねてきた。 「あなたはどうして、私と仲良くしてくれるの?」 その言葉は、僕が委員長に投げかけたのと同じ質問だった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5908人が本棚に入れています
本棚に追加