5908人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「だって私は、あなたのことが好きだから」
恥ずかしかったのか、委員長は顔を伏せてしまった。
誰もいない廊下に2人きり。
赤い影をバックにしての、突然の告白。
あまりに突然のことだったので、僕は思わず、
「……ぷ」
吹き出してしまった。
「あはははははは! 委員長、からかうのはよしてくれよ」
またいつもの妄言だと思った。
委員長が僕を好きだって?
ありえない、ありえない。
言うに事欠いて、この人はなんてことを口走っているのかと。
そんな見え透いた嘘、真に受けるわけないだろう。
初めからタカを括っていたから、気づかなかったのかもしれない。
俯いた委員長が、肩を震わせていたことに。
「なかなか面白い冗談だったよ。でも早く帰ろう? いい加減にしないと遅くな――」
僕の顔面に、学級日誌が飛んできた。
なまじ厚いだけに、なかなかの痛さだった。
最初のコメントを投稿しよう!