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「なにするんだ!!」
さすがに頭に来た。
たしかに冗談を言ったことに対して大笑いはしたけど、なにも暴力に走ることはないじゃないか。
それに、元をたどれば好きなどど冗談を口にした委員長が悪いはず。
これは言われなき一方的な暴力である。
「ちょっと委員長、どういうことなんだよ」
日誌を引っぺがし、文句のひとつやふたつ言ってやろうとしたとき、僕は気づいた。
「!?」
委員長が泣いていた。
無表情のはずの委員長が。
無感情のはずの委員長が。
ぽろぽろと涙を流し、唇をぎゅっと噛み締め、怒気のこもった目で僕を睨みつけていた。
そこにいるのは、僕の知っている委員長ではなかった。
「い、委員長――」
「冗談なんかじゃないっ!!」
委員長の叫び声を初めて聞いた。
彼女は僕の脇のすり抜けて、廊下の向こう側へ走っていった。
「委員長!!」
声を掛けても止まることはなく、やがて彼女の姿は見えなくなった。
「……」
叫び声が、耳にこびりついて離れなかった。
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