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(ああ、そうか)
理屈じゃないんだ。こういうことは。
自分の気持ちをやっと理解できた。
モヤモヤの正体が、分かった気がする。
僕は惹かれていたんだ。
おそらくは初対面で、彼女が放った不思議な魅力に。
「委員長」
差しのべられたを手を握る。
彼女の手は驚くほど小さく、冷たかった。
この小さな手に、つらいこと、悲しいこと、色々なことを抱え込んでいたんだ。
誰にも話すこともできず、ずっと1人で。
それはどんなに寂しいことだったのだろう。僕には想像もつかない。
「青山くんの手は、あったかいね」
握る手に力を込めても、彼女は嫌がらなかった。
僕の手のぬくもりを、もっと彼女に伝えたい。つらかった今までを、楽しいこれからで塗り替えたい。
彼女が一生懸命そうしてくれたように、今度は僕が、気持ちを伝える番。
「昼間の質問の答えが分かったよ。僕が委員長と仲良くする理由。それはね」
僕は、君のことが――
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